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「名前呼んでたな。コーヤ? とか」
真っ白なシーツみたいな宇宙は引き裂かれ、俺は本物のシーツの上に墜落した。
「いや……きょうや? か。愛しい男か……ぶ!」
枕でヒロキの顔をぶん殴る。
「よせ! ぶっ──う、よせって! 本命の名前か? 気にしねえよ。玲央に本命がいても」
分厚いカーテンの隙間から射す夜の灯りが、寝室に立つ埃を浮き上がらせる。
「うっせえ──」
枕を投げ付け浴室に飛びこむとシャワーを高い位置から全開で放射する。
シャンプーもソープもトリートメントもまとめて振りかけると泡だらけになった。
グリーンアップルの香りはいい。
深く吸って鼻と口の中まで浄めると、ヒロキの唖然とした表情をスルーして深夜の街に飛び出した。
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