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何メートルか歩いてスマホを尻ポケットから抜き出す。
トーク履歴のアイコンは響也のが一番上にあった。背番号26入りのバッシュのアイコンから開いてトークを過去へと辿る。
そこら辺の男子と多分変わんないやり取り。そん時の隠されたドキドキを思い出して顔が熱くなる。
だけど俺には親友という健全な建前があるんだ。
習性に任せてコールする。
「……ふあ……玲央。どうした?」
ちょっと眠そうな声。混じる息遣いを聞きたくて、ぐっとスマホを耳に近づけて囁いた。
「別に何でもねえ……声、聞きたかっただけ」
「……ふっふ。女に言うようなこと言うなよ」
この鈍感野郎。犯してやろうか。そうしないと気付かねえだろうな。
「今から行っていい?」
このセリフ。深夜、男から女に吐くなら相当勇気いるだろう、と、ふと立ち止まる。
「ああ? 明日早えんだよ──うっそうそ! 玲央ならいいよ! ドア開けとくから静かに入ってこいよ。両親寝てっから」
夜に沈みかけた気持ちがいきなり爆上げして足取り弾む。
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