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セミダブルのベッドに自然にイン。
「俺、もう寝ていい? 寝ながら話聞くから……」
警戒心どころか俺の顔見たとたんにトロンと瞼を閉じる可愛さに、尖ってた欲情まで折られちまう。
自分のベッドで響也を思うと抱きたくてたまんねえのに、目の前で喉元曝されたら側にいられればいいって和んじまう。
穏やかな寝息は最高の子守唄だ。
ああ──響也。俺は一生お前を抱けない。
でも、同じベッドで寝た初めての夜の優しさは魂まで刻まれて一生忘れない。
そうだ。だから俺はお前を抱かない。隠しながら心を開いてる。
ホントに隠したいのは普通過ぎる臆病な俺。
オズの魔法使いに出てくるライオンみたいだ。
全く皮肉なレオって名前。
お前の前でだけ普通の玲央でいられるから。
俺の腐ったアイデンティティは他で吐き出せばいい。
「どうした? 玲央」
ああ、そっか。響也は知ってる。家族のこと。
魂の居場所はお前の側しかないんだ。
「別に何でもねえ」
他の奴はどうでもいい。でも響也にだけは知られたくない。
女好きのチャラ男と校内では思われてたから、熱っぽい視線で響也を見ても誰もホントの気持ちに気付く奴はいなかった。
欲しい一人を手に入れられないから。
響也を見つめる女を抱いて、響也を共有した。
女を通して響也への甘い感情を暴露できたからかもな。
その後、卒業して響也に彼女が出来ても不思議と嫉妬は芽生えなかった。
誰よりも響也の側に自分は立って近くで見つめ続けてきた自信があったから。
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