風船

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※※※※※※※ (玲央。やっぱ来てくんなかったんだな) 「結婚式当日だろーが」 諦めの悪い響也からのラインだった。チャペルでの式の後、庭園で披露宴が行われるとスケジュールまで送られてきた。 高台にある公園から十字架を見下ろす。  ムカつくほど爽快な空にパステルカラーの風船が飛んでいく。 バルーンリリースが挙式が終わったことを告げた。 歩きながらしばらく風船を追った。同時に放たれたのに、キャンディみたいにバラけて少しずつ遠ざかる。 「どこまで行くんだろうな」 ずっと見上げてたら首が疲れた。白シャツを摘まむと風が下に潜り込んで汗を拭う。 バカルディのモヒートを一気にあおり、空き瓶をゴミ箱に投げ入れた。  酒にどれだけ浸ろうともしばらくは酔えそうにない。 「どこ行こっかな」 早く夜に包まれたい。とりあえず今夜の相手を決めないとな。                  End                    
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