真夜中の来訪者

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純粋に寝場所としてベッドを使う王子を起こさないために爪先一つの重みにも気を遣う始末。 ヘッドボードの上にポカリをそっと置き、開いたスペースに注意深く腰かけた。 響也の寝息だけという静けさ。甘さ。 無防備な寝顔に引き寄せられ、どんどん視線が落ちていく。気付いたら息がかかるほど近づいてた。 左右合わせて8つの俺のピアスをなぶりながら、響也の額にかかる髪をすくって左耳を露わにする。 俺と響也は昔も今も全く似てない。キャラも容姿も。でも今、やっと見つけた左耳のピアスという共通点を唇で温めたくなった。 「ふぅ、はあ玲央ぉ……」 何て最悪でサイコーな夜だ。プラトニックという呪縛。呪縛を溶かす息遣い。 みぞおちが縮んで甘痒いような感覚が胸に上がってく。  何度も何度も心の中で抱いては、明けてリアル響也の笑顔に出会うたび疚しさを打ち消した。 どうしても進めなかった。愛なき相手とは散々ベッドで愛の言葉を交わしたのに。 カムフラージュ過剰に女も抱いてきたのに。 
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