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「あのねフライパンっていうのは立てる物じゃないのよ。横や斜めにして具材を入れて炒めたり焼いたり蒸したり炊いたりするものなの!!それにあのフライパン、蓋がないじゃない!これじゃあ水餃子が作れないわ!おっ立てていいのは料理の方よ!胸にはエプロン、口にはシャンソン!!」
「ちょっとレミ!最後何言ってるか分からないわよ!」
同僚二人がレミの両脇を抱え、ズルズルと引きずりながら会社へと帰還させた。
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花見の季節が訪れ、満開の桜たちが公園の空を彩る。
桜の木の下のフライパンは、日本人の成人男性の平均身長と変わらない程に成長していた。
桜の木の下のフライパンの近くの場所を取ろうと、新入社員は奔走した。
運よく桜の木の下のフライパンの前の場所を取れた会社があった。
この場所をゲットしたのはレミの勤めている会社の新入社員らしい。
「私は気に入らないわ。今日もみんなに食べてもらおうと思って自宅のフライパンでたくさん料理を作ってきたのよどうぞ召し上がれ。でもねやっぱり気に入らないわ私はあのフライパン」
「むちゃくちゃ喋ってるけどどれも美味しそう!」
社員達は目の前に広げられた料理をキラキラとした目で見つめている。
「大したもんだ!これで勤務時に少しでも黙っていてくれれば言う事はないんだが」
部長は複雑な心境らしい。
「だが、せっかくの花見だ。盛大にやろうじゃないか!」
社長は心が広いらしい。
「どれもすごく美味しい!」
レミは満足気だ。
他の会社の社員達や家族連れ、大学生と思われるグループ、様々な人々が思い思いに花見を楽しんでいた。
しかし事態は一変した。
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