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「フライパンが人を襲ったって何一つ不思議な事ではないんですよ。ただ、己の危険を感じてというより、枝を折られた桜の無念を晴らす為に今回の事故が起こったように感じられるんですな」
専門家は腕を組み、考え込んだ。
「うーん。まあ皆さん、くれぐれも桜の木の枝は折らないようにね。枯れちゃいますから。今回は大事には至りませんでしたが、頭をいきなり攻撃されるっていうのは日常生活で一番危険な事ですからね」
コグラは視聴者に注意を促した。
ササイとハマタツはコグラをチラ見していた。
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桜の木の下でフライパンは凛々しくそびえたっている。
花を散らし、緑の葉を輝かせ、紅く燃え、桜の木は眠りに着いた。
桜の木の下で、フライパンは桜の木の枝と共に灰色の空を見上げている。
淡いピンクのシャワーの降り注ぐ季節を待ち侘びながら。
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