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最初は誰かのイタズラだと思われた。
誰かがそれを抜こうとしたが、無理だった。
公園の桜の木の下に、持ち手の部分を下にして垂直に生えているフライパンには、深い深い根が張っていた。
つまりこれは普通のフライパンではない。
専門家によると、フライパンが桜の木の下に生える事は科学的に有り得ない事ではないらしい。
「鉱物もね、全て自然界から採取されて加工するでしょう?
ですから、地面からフライパンが生えたってなんの不思議もない訳です」
専門家は得意気に語った。
「ほーん、なるほど」
二ヤネは納得した。
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桜の木の下に生えたフライパンはたちまち有名になった。
全国からの見物客も増え、地面から生えているフライパンと一緒に写った画像をXやInstagramやThreadsに載せる者が増えていった。
そんな中、凛々しく空に向かい成長を続けているフライパンに敵対心を燃やしている女がいた。
公園の近所の会社で働くOL、レミだ。
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