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千鳥は貝に抱かれた真珠のようにベットに横たわっていて、その安らかな寝息は幼げで清らかで……そんな千鳥の裸の体に触れた瞬間、痺れたような快感に襲われた。
……指一本触れないと取り引きを持ちかけたのは自分だろう。あんなに傷だらけの彼女に欲情するとはどうかしているのは私のほうだな……
熱くて甘美な得体の知れない何かが体の奥深くから溢れ出て止まらない。
これまで亜門が会った女性たちは自己主張が強く仕事のことまで口出しをしてくるかと思えば、何を考えているか全く伝わってこない人形のような目をした者ばかりだった。
そのどの女たちとも千鳥は違う。
「真珠を見て、海を見たいと思っていたとは……」
素朴な外見からは想像できないほど、心の奥深くに、豊かな情感を秘めている。
それが亜門の手によって露わになる瞬間、これまで知らなかった感情が噴き出してくる。
「加茂院家の息女というから、どんなに権高な女かと思っていたが。これでは調子が狂ってしまう」
もっと奥深くに秘めているものを見てみたい。
頑なに閉ざしている殻を開かせるには、どうしたらいい?
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