擬似親子

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ドアをノックする。老人が出てきた。 「おかえり、サディク」 老人はエリアOの言葉を話した。部屋からは御香の匂いがした。昨日は玄関のみだったので家の中を見たのは初めてだった。 やたらと南国のパンフレットがおいてある。南の島に行くと言っていたな。観光雑誌には付箋がしてあった。 居間には絨毯が敷かれていた。絨毯の上にはお茶とカステラのようなお菓子が乗ったお皿がおいてあった。お茶からはミントの香りがした。 「チョコクッキーや甘いジュースはないの」 「サディクはこれが好きだろう」 老人は皿を差し出した。 仕方なく頬張ると、懐かしい味がした。 実は、サンダーはガツンと来る甘さよりはこれくらいの控えめな甘さのものが好きだ。ここまで口に合うお菓子に会えることはなかなかない。 「どうした、うまいか」 ミントティーもおかわりをした。 「小さい時から大食いだったからな。ミルクを与えても足りないと泣くくらいだった。離れ離れになった時、お腹だけは一丁前だったよ」
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