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夕飯は硬いパンにスープだった。
「夕飯これだけかよ。ハンバーガーでも買ってくるか」
「サディクももう三十近いだろう。健康を意識しろ。三十半ばから豚みたいになるぞ」
「俺は仕事で動くから大丈夫」
お腹はきっと空くだろう。しかし、味はハンバーガーよりも馴染みのある味だった。
「お前、恋はしたことあるか」
ない、と即答した。恋など面倒くさい。体を重ねてさようならくらいがちょうどいい。
「淋しい奴だな。お前より遥かに若いときに母さんと出会ったよ。母さんとは祭りで出会った。白い花のようだった」
「ああそうかい」
サンダーは次のパンに手を出した。
「お前は顔立ちは母さんに似ているんだ」
「で、奥さん…母さんはどこにいるの」
「死んだよ、産後の肥立ちが悪くてな」
寂しそうな顔で言った。
「そうだったな」
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