ヴェノム製造工場の話

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ヴェノム製造工場の話

とあるフリーペーパーの記事より。 ビッグ・アイ連邦内で起きた人間とモンスターの戦争で、生物の体を融かす化学兵器ヴェノムの存在は知られるところとなった。 このヴェノムは、その危険性から世界的に使用禁止となったが、闇工場は数多く存在する。 この存在が明らかになったのは、とある地域のある村で起きた工場爆発事件だろう。 この村はもともと少数民族が住む小さな貧しい村だった。その村は工場誘致により豊かになった。若者を中心に工場で働き始め、生活は豊かになった。 しかし、工場は一瞬にしてすべてを奪った。爆発事故が起き、働いていた何人もの若者がヴェノムを被り生きながら溶解した。更に、その溶液は地に染み込み、彼らの親が耕す農地に毒をもたらした。人々は病に倒れ、次々と死んでいった。慈善団体により、孤児たちは世界各地に引き取られていった。 現在、その村は立入禁止となっており、まさに沈黙の春を思わせる光景が広がっている。木も草も花も枯れ、廃墟と遺骸が転がっている。まさに地獄だ。 この村には春は来ないだろう。
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