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「あ、湯流布さんに小地留さん」
俺はそう言って二人を見上げた。
今日はみんな私服なので
湯流布さんは、まだ肌寒いのにピンクのスイトピーの柄を散らした
膝上のふわんふわんのワンピースを着ている。
一方の小地留さんは、きっちりかっちりの黒いスーツ姿だ。
ただいつもはパンツスタイルなのに
タイトなスカートを着用している。
「お二人揃ってどうしました?
ええと、今場所を空けますね」
「あの、そのう高根野さん。
違うんですぅ」
「?湯流布さん。違うとは?」
「湯流布さん、私が説明します」
そう言って小地留さんが話に割り込んできた。
「高根野さん。
私と湯流布さんは今日の花見に
高根野さんへお弁当を差し上げたいと
作ってきました」
「え?俺にですか?」
「はい。実は私と湯流布さんは
その、あの・・・」
何故か小地留さんが顔を真っ赤にして言い淀む。
すると隣の湯流布さんが
「わたしとぉ小地留さんわぁ
高根野さんが好きなんですぅ」
「ちょっと湯流布さん、
そんな率直に言わなくても」
「ええとぉ、だってぇ。
じゃぁわたしたちぃラブなんですぅって
言えば良かったですかぁ?」
「それじゃぁ私とあなたが
愛し合っているみたいじゃないの!!」
俺は呆然として二人のコントじゃなくて
告白を聞いていた。
ハッと気付くと周りの連中が
なんだなんだとこちらの方を見ている。
まずい。
「そ、その。二人とも落ち着いて。
ちょっと場所を移動しましょうか」
すると小地留さんがビン底眼鏡の位置を正すと
手に持っていた目の前の包みを俺の前に差し出し
「いえ、結構です。
高根野さん。
こうなったら単刀直入にお伺いします。
私と湯流布さんは高根野さんが好きです。
そのことをお互い知った時に
今日の花見に高根野さんへのお弁当を作って
どちらの方が美味しいか判定していただき
勝った方が告白すると決めました」
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