命を溢した手で桜を捕まえた

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未来。 それは、刻々と変化するもの。 特に戦場においては、誰か一人が一歩分立ち位置を変えただけで、百人の命運が変わるなどということもザラだ。 海斗は必死に未来を読みながら戦うが、処理能力には限界がある。乱戦の中では、いつの間にか取り返しがつかなくなっていることに気づく、という状況に陥りやすい。 つまり。今回、海斗は『未来を読む能力』の欠点を敵に完璧に突かれたのだ。 このままでは『星ノ刀』を敵に奪われる、というかなりまずい状況へと追い込まれたことに気づいて。海斗は必死に打開策を練ろうとした。自分がどう動けばどんな未来が手に入るか。それを考えるうち————相棒の命と自分の命を天秤にかける羽目になっていた。 いつものことだった。 誰かを助けるためには、何かを犠牲にしなくてはならない。 全てを救おうと足掻いて足掻いて、それでも駄目だったなら、諦めるしかない。 だからこそ、いつも海斗は切り捨ててきた。 今回もただ、同じように『選択』をすればいい。 そう思って、そう信じて。いつものように駆け出そうとして。 けれど、海斗は……
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