空腹を満たすもの

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 そして、期待は山に入って早々に打ち砕かれた。  前を歩く友人に続き歩く道は、どう良く見ても獣道。急勾配や足場の悪い場所には普通ありそうな柵や手すりといった補助器具なんてあるはずもなく、ただただ道とは思えない道を突き進むだけだった。  さすがに素人が登る山じゃないと思い、何度も帰ろうと訴えた。しかし友人は、あと少しと言うだけで、オレの意見を聞き入れる様子はなかった。  慣れない登山に悪路。こんな場所を素人が登るなんて本当に無謀だったんだ。  どうやら、滑落してしまったようだ。その際、捻挫か骨折したのか、足に激痛が走り動けなくなってしまった。さらに、滑落のショックか、どんな状況で落ちたのかもよく覚えていなかった。  何が起こったのか把握ができないでいたけど、取り敢えずヤバい状況だってことだけは理解できていた。すぐに友人と連絡をとろうとしたけど、携帯は圏外になっていて繋がらなかった。なので、精一杯声を張り上げて友人を呼んだが、これにも反応がなかった。  連絡手段が断たれ、不安になった。けど、オレは友人と来ていたのだ。きっと救助要請を出してくれる。そう思い、オレは少ない食料を少しずつ食べながらじっと待った。
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