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小屋は本当に狭くて、家ではなく物置みたいな場所なんだと思う。窓らしき物はなく、出入り口である観音開きの扉は片方が外れかかっていて、上手く閉められなくなっている。壁の方もかなりガタがきていて、所々小さな穴が開いていたり隙間ができていたりして、そこから僅かな光と冷たい風が入り込んでいる。そんな粗末な小屋の真ん中に敷かれた薄い布団の中で、オレは寝かされていた。
そうやって状況を確認しているうちに目が暗闇に慣れたのか、側にいるこの子のこともはっきりと確認できるようになった。
この子の年齢は五、六歳くらい。おかっぱ頭の女の子で、薄汚れた質素な着物を着ている。何となく時代劇に出てくる貧しい家庭の子みたいな印象を受ける。
「…………ねえ、オレを助けてくれたのは……キミのご両親?」
今、ここにはこの子しかいないけど、きっとオレをここまで運んでくれた大人がいるはず。そう思い、尋ねてみる。けど、女の子はにっこりと笑っているだけで何も答えない。そして、女の子は微笑んだまま、寝ろと言わんばかりに布団の上からオレの胸をポンポンと軽く撫でてきた。まだ聞きたいことはあったけど、意識が戻ったばかりだったオレは、その軽く優しい刺激にすんなりと流され、再び目を閉じた。
翌日、昨日とは違う子供が食事を運んできてくれた。
どうやら、ここには数人の子供がいるみたいだ。いつも違う子が食事を運んできたり、足の怪我を治療したり、ただ様子を見に来たりと、甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
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