「     」上巻

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俺は虐待の状況下にある。虐待といえるか怪しいくらいの虐待。典型的な暴力と暴言。でも、暴力を受けている一部の家庭に比べれば、それは微々たるもので、殴りはしないけど、平手打ちは何回もするし、思い切りけりはしないけど、少し強めにはけるし、もので叩きはしないけど、こちらに投げてはくる。恐喝は当たり前、怒るときはいつも大声、怒っていなくともいつも暴言。でもそれは、まだ小学生だった俺に恐怖心を植え付けるには十分すぎるほどだった。ちなみに、母がイラついて、馬鹿にしてくるときの俺のあだ名は、「ADHD」「障害者」「発達障害者」「馬鹿」「零点」。まだまだあるけれど、流石に最初の三つはきつい。うちに父はいなくて、小学校一年生の時にがんで他界している。 俺が、暴力といえるかわからない暴力をうけるのには、理由がある時に限る。理不尽に暴力をふるう訳ではない。これは、普通に、だ。俺が悪い。 母がをふるう理由としては、冷蔵庫にあるものを勝手に食べた、とか、母の手伝いをしなかった、とか、食べたごみをそのまま、とか。これとかは、もう、幼稚で、これだけのことでここまで怒るか?と疑問に思う。でも、勝手に物を食べたり、反抗したりした自分が、圧倒的に悪い。 あ、あと、当然だなって思うのが、母に偉そうな態度をとった時。。でも、俺からしたら、どこが偉そうなのかがわからない。はい、悪循環の出来上がり。 でも、たまに、理不尽だな、と思うことや、どうしてそれで怒るの?と、疑問に思うこともある。ただ、それは、知らず知らずのうちに、母を怒らせる要因となっていたらしい。から、別に、叩かれても文句は言わない、し、怒っている理由も聞かない。聞くことによって、母の怒りが大きくなることを知っているから。どんなことを言われても、黙って、耐える。どんなことをされても反抗しない。 それが、今の、俺の、普通。
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