「     」上巻

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というのも、さっきまでの話。 今は、この森に家出中である。もういっそ、死んでもいいか。と思い、何ももたず、どこかも分からないこんな山奥まで来てしまった。それから少しして、導かれるように古民家にたどり着く。 幸運なことに、自分は死ぬ前にこんなにも幻想的で、都会に住んでいた俺からすれば現実離れした、アニメの世界かのような風景を見れたことに、初めて、神様に感謝する。 目の前の風景に浸りながら、ふと、思った。 はぁ。死にたくてしかたがない。理由はたくさんある。その中の小さな要因として、俺はきっと、「過食症」とかいうやつで、なにかを食べたくてしょうがない。このことを祖母に話すと、「拒食症よりかはましじゃない。拒食症にはならないようにね。食べたくても食べられないんだから。」といわれた。わかってない。どうせなら拒食症になりたかった。 きっと拒食症、というものも辛いんだろう。けど、きっと、過食症よかは楽なんだろうな。と、想像してしまう。「拒食症」と聞けば、よほどつらいことがあったのか、きっと、重い病気なんだろう。と想像するだろう。だが、「過食症」と聞くと、どんなことを想像するだろうか。ただ、大食いなだけだろ??食べれるんだからいいじゃない。それのどこがしんどいの??きっと、だらしなくて、自制が利かない人間なんだろう。などと想像するはずだ。拒食症と過食症では、背景は同じ場所にあるはずなのに、周りから得られる印象が違う。印象が違えば、周りの協力や理解が及ばない。 用意されていたお昼ご飯を食べる。でもまだ、食べたくてしょうがない。から、冷蔵庫の物を食べる。まだ足りない。家じゅう漁って、おやつを見つけて食べる。それでも、たりない。また、見つけて、食べる。気持ち悪い。食べ過ぎた。でも、まだ何か食べたい。食べたくてしょうがない。気持ち悪いし、吐きそうだ。でも、食べたい。まるで、足りない何かを埋めるかのように食べ続ける。でも、もう、食べ物がない。まだ子供で、お金もない。何も買えない。あぁ、食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。気持ち悪い。あぁ、しんど。食べたくても食べられない。気持ち悪くて食べたくないけど、食べたい。食べないと、心の中がぐちゃぐちゃしてもやもやになって壊れかけてくる。毎日、毎日、毎日、これの繰り返し。 もう気が遠くなりそうで、死にたくて、この気持ちが早く終わってくれたらと思う。 病院に行けばいいのに。 これしきの事で行くくらいなら、死んだほうがまし。病院は好きだけれど、だめだ。きっとまた、母に、罵られる。「ブタ」「デブ」「過食症」きっとまた、 「なんでお前のために金使わなあかんねん」 っていわれて、こっちが傷つくだけだ。それはしんどいから、いやだ。病院に行って傷つくくらいなら、行かないほうがましだ。でも、しんどい。あぁ。死ねば楽になれる。死にたい。でも、まだ生きてたい。
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