39.ラウルside

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39.ラウルside

   王立大学に入学して二年だ。  平民にも開かれた国の最高機関の大学。  貧しい出身であろうとも成績優秀であれば、奨学金と支援金が支給される上に、大学寮もあり、それらの施設も暮らしも全額負担してくれる。  俺も貧しい庶民の出だ。  この大学の制度は有難い。  地頭が良かったお陰で特に苦労せずに特待生として入れた。  自分でいうのもあれだが、俺は顔もいい。  将来性を見込んで女も寄ってくる。寮に戻らず女の元に入り浸る事も多かった。寮監なんかは小煩く説教を垂れるが、大学側としたら成績さえ良ければ、少々素行が悪くとも大目に見てくれる場合が多い。  俺からすれば天国みたいな場所だぜ!  それが今期に入ってから変わった。  ああ!  変わっちまったぜ!!!  事の発端は、伯爵家の嬢ちゃんのワガママから始まった。  なんでも、この俺に専属の家庭教師になれと依頼してきやがった!  これが、年頃の令嬢なら俺だって三顧の礼で引き受けたぜ!  だが、教える令嬢は十代前半だ。  何が嬉しくて、子供を相手にしなけりゃいけないんだ!!!  当然、断った。  上手くいけば伯爵家と懇意になれるかもしれないが面倒だろ。  これが妙齢の女性なら話は別だが、相手はお子様だ。  断わるのは当たり前だろう?  俺はツルペタに興味はねぇ!!!  それが、悪夢の始まりだった。  あのガキは、いつの間にか大学の大半を味方につけてやがった!  しかも噂に尾ひれが付いて、 「子供相手に大人げない」 「全世界の女の敵」 「貴族令嬢を誑かそうとして失敗した最低男」  と、まあ散々言われ放題。  極めつけが「ロリコン野郎」だ。  遊び相手の女達からも散々罵倒されちまった!「発展途上の女子に発情する変態野郎」だとな!!!  お陰で、女がまったく寄ってこねぇ。  何度も説明をしたが、まったく信じてくれないんだ。  俺が無実を訴えれば訴えるほど、噂が事実と認識されていく。 「多いのよね。散々女と遊び歩いといて結局は『良家のお嬢さんタイプ(男を知らない少女)』と結婚するの」 「プレイボーイを気取っておいてそっち系(アブノーマル)だったのね」 「私を愛してるですって!? 何? もしかして表向きの恋人としてカムフラージュに使おうっての!? 冗談じゃないわ!」  勘違いだ!!!  何が悲しくてガキに欲情しないといけないんだ。  そんな趣味はない!  俺はおっぱいはデカい方が好みだし、尻だってデカいのがいい!  凹凸のとれた体形が好みなんだ。顔より体。ふくよかな胸に顔を埋める感触がたまらん!これで腰が細ければなお良い!!!  なのに……。  俺が一体、何をしたっていうんだ!!!
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