40.新しい家庭教師

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40.新しい家庭教師

  「嫌がらせか!!!」  ラウル様が何故か伯爵邸に怒鳴り込んでいらっしゃいました。 「どうなさったのですか?」 「どうしたもこうしたもねぇ! 毎日、毎日、大学まで押しかけてきてどういうつもりだ!!!」 「いけませんか?」 「ああ! いけないね!」 「何故でしょう?」 「なっ!?何故だと!俺にも都合ってもんがあるんだ!貴族のお嬢様の気まぐれに付き合っている時間なんかないんだよ!」 「まあ!気まぐれではありませんわ!私は真剣に『専属の家庭教師になって頂きたい』と依頼しているのです」 「ああ、ああ。その理由も聞いたさ!実に馬鹿げた話をな!」 「馬鹿げた理由…そうでしょうか?」 「そうだろ!嬢ちゃんは、婚約者に尽くして満足かもしれないがな、嬢ちゃんがやっている事は世間ではな『男に従順で扱いやすい女』ってことだ!」 「まあ!私を心配してくださっているんですね。ラウル様は優しい方ですわ!でも、御心配いりません。これはロジェス伯爵家のためでもありますもの!婚約者様は、私がロジェス伯爵家を盛り立てていくために、意欲とやる気を出させてくれているのです!」  苦々しい表情をなさるラウル様は、 「嬢ちゃんには負けたよ」  と、何故か敗北宣言をなさいました。  私の熱心さが伝わり、ラウル様は家庭教師の依頼を引き受けてくださいました。 「報酬は弾んでくれ」  勿論です。  給料だけでなく、その他諸々を付け加えさせて頂きます!  ラウル先生。  いい響きです。  冬休みの間は勉強ずくし。かなりスパルタ式です。ですが、その甲斐あって、私の成績は向上していきました。  ラウル先生を雇って四年後、私は初めて学年トップの成績を収めることができました。レポートが素晴らしいと、百点満点以上の点数がつけられていたのです。そんなことも出来るのですね。ビックリです。ラウル先生も嬉し泣きをされてました。出来の悪い生徒がよくぞここまで、といった心境なのかもしれません。  なにはともあれ、ラウル先生の卒業までに目標が達成できたのは良かったです。  卒業式には是非、お父様と共に馳せ参じる予定です。
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