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6.ロジェス伯爵side
7歳の娘の覚悟の手紙を妻と共に盗み読んだ時は涙が止まらなかった。「息子の再教育」だと!?当たり前だろう!あれだけの事をしでかしてたのだぞ!
スコット公爵の息子ならばと思って婚約の打診も引き受けたのだ。王命である以上断る事は出来ないしな。陛下もマトモな男の息子を選んだのかと思ってみたらこのザマだ。いっその事、私と妻とでクソガキの「再教育」を施してやろうかと公爵に話したら真っ青になって首を横に振りたくっていた。
『チャールズは責任を持って我が公爵家で躾け直す!』
一応、その言葉は信じておいてやる。
ただし、今回の件での落とし前は付けねばなるまい。陛下を交えての会談だ。
「ロジェス伯爵の言い分はもっともだ。そして少し落ち着け。そなたの怒りは分かる。分かるが落ち着け」
「何を仰います。私どもは落ち着いております」
「怒りを隠しきれておらん」
「それは失礼いたしました。婚約の意味さえ理解できない貴族子息がこの世に存在していた事に驚きと怒りがこみ上げてきたのです。ご容赦ください。それで、陛下。肝心の公爵の姿が見えないのですが」
「急な発熱で欠席だ」
「ほぉ。急な熱ですか。逃げましたか」
「誰だって我が身は可愛い者だ。仕方なかろう」
「よくあれで派閥のトップが務められますね」
「そなた以外なら優秀に対応できる男だ」
おや?
陛下は何が仰りたいのでしょう?
「まるで私が何かしたかのようなお言葉です」
「まるで何もしていないかのよう態度だな」
陛下は呆れたお顔だ。
はて?
スコット公爵には何もしていないはず。
「まあ、いい。公爵がいなくとも問題あるまい」
「さようですね」
「で、本当にいいのか?この婚約契約ないようで」
「はい」
「一見、公爵家に有利な内容だが……何を企んでおる?」
「酷い言いようです。私が何かをするかのようではありませんか」
「これからするつもりだろう」
「いえいえ、我が伯爵家は何もしません。契約にも書いていますよ」
「……契約か」
「はい」
「法律の穴をほじくり返すのが趣味のロジェス伯爵が、か?」
「陛下の言葉に繊細な私の心が泣いております」
「鋼鉄で出来た心臓にそんなものは存在せん。まあ、そなたが納得しているのなら別に構わん」
「ありがとうございます」
「……王命で婚約を敷いたのは私だからな」
「はい」
「……少しは否定しろ」
「無理でございます」
「はぁ。スコット公爵も哀れな」
何を言いうのか。
あんな公爵家のドラ息子と婚約しなければならない娘が一番可哀そうだ!
だがこれである程度の目途はたった。
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