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シンデラの王子様は早くに母をなくしている、小さな国の王はそれはそれは悲しみました。
必ず王子を立派な王にしようと心に決めました。
王は愛を持って、そして時に厳しく、時に優しく、正しく王子を導きながら小さな国の国民も愛し、堅実に真心ある政治で国を収め国民から愛される王となり幸福度の高い国にしました。
けれど王は空虚でした。
どんなに愛されどんなに尊敬され、微笑んでもどこかポッカリ穴の空いたバケツのように満たされず、ただ満たされなかった穴を息子の活躍が一瞬塞ぐ
王は王子を愛し教育し未来を案じ、様々な姫との婚約話を持ち出すが愛する王子はなかなかその手をとることはない、どんなに美しいと言われる姫でさえ王子の目には映らない素晴らしい姫を紹介しても高位貴族令嬢を並べても王子はその女達の見ている物に辟易して、避けて行く
王は苦肉の策で国中の女性を呼んだ舞踏会を開いた。
国中から集まる女性、その中で王子は最後に来たお上りさんのように城を見ていて王子をいちべつもしなかった一人の女性に目を引かれファーストダンスを始めた。
二人は踊るうちに惹かれ合ったようで、安心してみていた。
そんな二人を見ながら周りの反応を見て満足していた時だった窓辺に不思議な女性を見る。
歳は自分と同じ頃か、どことなく王子が幼い時に亡くなった王妃様に似ているようにも思える美しく優しい人はあの美しい女性を暖かく見守っている、あの女性の身内だろうかと思っていると0時の鐘がなる。
途端に美しい女性は、走って逃げて行き、ガラスの靴を一つ残して姿を隠してしまった。
優しい美しさを持っていた美しい女性も姿を消している。
王子は踊った女性を探したいと言った。その手がかりはガラスの靴のみ、王としてもあの優しい美しい女性の手がかりは王子の愛する女性のみ
王はお触れを出してガラスの靴の女性探しをさせたた。
それは幾日も幾月もかかった町から村から隅々まで探した。
そしてある未亡人の家で虐げられていた亡くなった男の前妻の娘がそのガラスの靴をピッタリ履いてみせた。ススに汚れていても美しさは隠れておらずその純潔に輝く魂の色が見えるようだ。
そんな女性を虐げていたのだ、もちろんその継母とその二人の娘があの優しい美しい女性のわけがなく、唯一の手がかりだと思っていた息子の思い人シンデラのエラは手がかりでは無かったのだが、虐げられているのにどうやってあんな素晴らしいドレスとガラスの靴などはどうしたのかと問えばフェアリーゴッドマザーのおかげだなどと言う、誰かと問えば妖精だと、もしかして虐げられ過ぎて夢物語を真実だと思っていたのかと思っていたら、
ふわっとどこからともなくあの優しい美しい女性が出てきて彼女は頭のおかしな子ではないと言うがそんな事はどうでも良くなった。
「美しい人、どうか私の后に」
フェアリーゴッドマザーの手を取って王はそう告げた。
周りの驚きなど気にならない、優しい美しい人、その人を自分の后にするそれが叶えばこの穴の空いたバケツの穴も埋まるだろう、
「貴方はまた私を見染めてくださるのですね」
微笑むフェアリーゴッドマザーに王はその優しい微笑みに、少し老けてはいても色褪せない美しさ、そう彼女は
「君かい!?君なのかジャンヌ!!」
「私の王様、死んでも死にきれず妖精になり、王子に素晴らしい姫を紹介できれば影で見るだけで良いと思っておりましたのに見つけてくださるなんて!」
後日、国王と王子夫婦の結婚式が行われたのだった。
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