3.ハッピーエンドのその先

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 しかし、戦が人間軍の勝利で終わりを迎える頃、ある事情からツヴァイが行方を眩ませた。勿論、胸の爆弾を無効化した上で、だ。  アインスにはツヴァイの追跡及び抹殺任務が与えられたが、互いが特別な存在であると確かめ合った結果、命令を無視して二人で逃避行を図り、現在に至る。  ほぼ着の身着のまま組織を抜け出してきた二人だ。その時点で自由に使える金子の類などある訳もなく、物資の調達にはツヴァイの〝催眠〟能力を活用せざるを得なかった。  真面目なアインスは初めの頃抵抗を示していたが、背に腹は変えられない。自分達は人類の敵として追われている身だ。出来るだけ遠くへ逃げる必要がある。  そうして辿り着いた異国の地は、奇しくも最後に見た故郷と同じように、白銀の雪に覆われる季節を迎えていた。 「お、掛かった」  空回っていたエンジンが噛み合う音がし、二人を乗せたワンボックスカーはようやく雪道へと滑り出した。今時の車は道の状態に合わせて自動でタイヤの形状を変化させるというのに、旧式のこれはわざわざチェーンを巻かなければならなかった。
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