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4.それは、お互い様
襟元を寛げると、露になった首筋に顔を寄せた。仄かに香る汗と、肌の匂い。
(大好きなアイちゃんの匂いだ)
ツヴァイは鼻先を近付けて、深く息を吸い込んだ。当る吐息がこそばゆいのか、アインスが小さく身じろぐ。もう何度目か分からないのに、未だに緊張して身を硬くする様が、愛おしくて堪らない。
(自分から誘ったくせにね)
太く逞しいその首筋に、撫ぜるように唇を沿わせた。滑らかな皮膚の感触。その下から感じる確かな脈動に、思わず喉元のものを嚥下する。
急激に覚えた乾きのままに、ツヴァイは鋭い牙を突き立てた。柔肌を一気に穿つ。
「っ、」
痛みに僅かに息を詰まらせて、アインスが眉間に皺を刻んだ。忽ち穿孔から溢れ出した液体は、甘い蜜の味。舌先で掬うと口内で転がし、ツヴァイはじっくりと堪能する。初めは、静かに厳かに。次第に熱に浮かされたように、一心不乱に。
「はぁ……っ」
ぴちゃ、くちゅ、
熱を孕んだ各々の呼吸音と、湿った肌を舐る水音だけが淫靡に室内に響く。
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