4.それは、お互い様

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 これは、食餌ではない。吸血鬼同士(同種間)での吸血行為は、通常、生命維持の糧にはなり得ない。糧としては人間の血液が必要となるが、それは今のところ研究所から支給されていたタブレット(人間の血液を固めて作られた食餌用のもの)で補っている。  無くなったら新たに人間を襲う必要も出てくるだろうが、それは今後の課題であり、今現在の行為(これ)とはまた別問題だ。  これには、ツヴァイの特殊な体質が関係している。彼の体内で作られる免疫が、徐々に吸血鬼ウイルスを駆逐してしまうのだ。要するに、放っておけばツヴァイは人間に戻る。  そう言えば聞こえはいいが、決して目出度いことでもない。一度吸血鬼として無茶な使い方をされた肉体は、ただの人間に戻った時、その代償を払わされることになる。即ち、人間に戻るということは、死を意味していた。  しかし、アインスの血液で人間化の進行を遅らせることが出来ると分かった為、こうして月に一度、ツヴァイが彼の血を貰うのが約束事となっていた。 「ごめんね、アイちゃん」
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