18人が本棚に入れています
本棚に追加
牙を抜き、最後に患部に優しく口付けると、ツヴァイは申し訳なさげに零した。吸血鬼特有の治癒力によって傷口は瞬時に塞がっていくが、体内に回った酩酊は暫く抜けない。見つめ返すアインスの表情は陶然として悩ましげだった。
「何故、謝る」
「だって……アイちゃんに負担掛けちゃってるし」
アインスが居なければ、生きていかれない。肉体的にも精神的にも彼に依存している状況に、ツヴァイは後ろめたさを感じていた。
自分が彼の重荷になってやしないか、時折どうしようもなく不安になるのだ。その度にアインスは説く。
「負担だなんて思っていない」
「でも……」
「私がしたくてしていることだ。お前が居なければ、私が生きる理由も無いからな。だから、気にするな」
「っ……」
アインスの真っ直ぐな言葉に、ツヴァイは声を詰まらせた。それから、顔を伏せて「ありがとう」を呟く。
敵わないな、と思った。
「……ここ、苦しそうだね」
ふと視界にそれが入り、ツヴァイはそっと指先でアインスの股間に触れた。
「それは……っ」
アインスが慌ててベッドから立ち上がろうとするのを、ツヴァイが押しとどめる。
最初のコメントを投稿しよう!