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〝困っている人を放っておけない正義漢〟――ツヴァイ自身、生命の危機を救われたのがアインスに惹かれた切っ掛けだった。ここで女性を見捨てるような行動はむしろ彼らしくないとも言えるが、そうと分かっていてもついキツい物言いになってしまったのには、心配以上に嫉妬心があったからだ。
「ジョン」
ツヴァイがその名を呟くと、アインスは一層バツが悪そうに目を伏せた。そんな彼のフードに手を伸ばし、ツヴァイが被せにかかる。
「フードもちゃんと被らなきゃ駄目でしょ、ジョン」
「……私は、お前のように目立つ容姿はしていないが」
「何言ってるの? アイちゃん、無自覚過ぎ!」
確かにツヴァイのような華やかさは無いが、アインスだって充分整った顔をしている。その上、この恵まれた体格だ。人目を惹かない訳が無い。
……最も、フードで顔を覆ったところで、体格だけはどうにも隠しようがないが。
「大体さ、あのお姉さんに恋人扱いされた時、もっとちゃんと否定して欲しかったよね、俺としては。ほら、一応俺達、そういう関係な訳だし?」
「悪かった。……だが、お前もだぞ」
「え? 俺?」
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