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算段
残された二人と宇宙生物はそのまま聡美の家に来ていた。
聡美の懸命な話ぶりと宇宙生物の変身を目の当たりにしてとりあえず話だけは聞いてくれる様だ。
「今聡美さんのお父様の会社の持っている特許的技術を活かす事が出来れば倒れるどころか成長までしますよね」
「それは分かっているが、新事業を立てるには予算と期間がいる。。。そして私たちの持っている技術は一つで売ることのできる状態にはない」
「そうですね。まずお金の面ですがこの銀行。あなた方の本来の取引先の銀行の元支店長の転職先です。私が元同僚に変身して手筈を整えましょう。彼は貴方の会社に魅力があると後輩に語った事があります。また転職して間もなく、手柄も欲しいでしょう。」
「しかし成功出来る算段が立たんことには想いだけじゃいくら好印象でも動かんだろう」
「それで契約先。つまり今のあなた方の技術を活かせる会社が此処です。此方もそこまで経営状態は良くありません。私が支店長の後輩として話を持っていきましょう。後輩さんは私と同じ生き物でもあります」
「そうですか。。確かに此処の技術と私たちの今持っているものが有れば、今考えるだけでも資金次第では革新を起こせるでしょう。。。しかし君は金が欲しいだけなら自分でやったら良かったのでは無いのか?」
「この国の根幹になるつもりはありません。あくまで世間を見渡し、時に回すのがせいぜいです」
「そうか。。人間界は遊びか、、悔しいが君は凄いよ。お金の面だが直ぐに用意させよう。私の個人通帳からで良いかな?給料の方が良いかな?」
「その件は持ち帰っても良いですか?こうも早く信頼して貰えると思ってなかったので」
「分かったよ。君への報酬だ。私達は指図できない」
「ありがとうございます。では今日はこれで。」そう言って悟の体で聡美に見送られ彼は家から出て行った。
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