終止符

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終止符

家を出て直ぐに本物の悟の携帯で菜津に電話をする。 「菜津。そちらは上手く説明出来ているか?」 「お兄ちゃん悟君と直接話がしたいって言ってる。私からも会っておいて欲しい。お兄ちゃんと会っておくのは貴方の生活の在り方としても良いでしょう?」 「そうだね。僕もそう出来ればと思っていた。で何処に会いに行けば良い?」 「学校の裏の河川敷で待ってるって言ってた。。私は行かない方が良いと言われたから行かないけど、大丈夫?」 「その方が腹の探り合いからじゃなさそうだから、上手くいきそうだよ」 「そんなものかな?じゃあよろしく」 「勿論。此方こそ。。これからよろしく」 「うん」そう言って悟らしい形態の生き物は河川敷に向かう。 「おう。悟。いや聡美ちゃんの姉さんの彼氏と言ったら良いかな?」 「調べて頂いたんですね。公安で僕とは違う、、個体として人間に近かった宇宙人の菜津のお兄さんを語る異人さん」 「そこまで知っていて何の様だい?まさか僕と唯の友達になろうとするわけではないんだろ?まさか公安の任務に関わる事か?」 「いや。今回はやめておきます。僕は敵として見ていませんよ。ただ貴方は結婚して子供もできたんでしょ?即ちこの世界で一発で適合する生殖器を見つけた。。そこに情報が有ると思ったのですよ。私が知りたいのはそれです」 「やっぱり河川敷にしておいてよかったよ。そうだね。そう言う事なら条件として君と対等に話せる様に僕もなれそうだね。」 「じゃあ我々にも適合者が居るのですね」 「我々か。。聡美の姉もそうなのか?」 「いや彼女は人間だ。そして彼女の彼である祐介が死んだのは事実だ」 「そうか。ベラベラと話してくれるじゃないか。聡美の姉は君の事をどう理解している?君が祐介を殺したのか?」 「俺は殺してない。その定義でいくなら、祐介の彼女つまり久美と祐介の母が殺したと言った方が正しいだろう。彼女は彼との子を妊娠している。それを知った祐介の母は孫ができる事を喜んだが、彼が借金を作っている事が発覚したのだ。それを知られてしまった祐介は内密にして欲しいと彼女達に話した。実際結婚さえできればあの家の力なら企業として状態が良ければ叶う。だが彼女達は僕を知っていた。そして人間は同じ事を繰り返す。だから我々に持ち掛けたのさ。彼の戸籍を渡す代わりに彼に我々が主体として生きている星で生活させて欲しいと。」 「君が殺しただけじゃないのか?君からの話でしかない。公安として捜査もできるんだぞ」 「好きなだけやると良い。君も飲むしかなかった様に私から見て君の方が下等だ」 「そうだな。しかし公安を殺せば日本は黙ってないぞ」 「厄介事はごめんだよ。説明はした。分離出来ない君にとっても良い話じゃないのか?情報を教えるだけだ。今の世間なら片っ端から当たっても良いしな」 「分かった。教えるよ。この世界の生殖を乱したくない。種族として絶対に秘密だからな」 そう言って重なる秘密は一先ず終止符が打たれた。
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