12人が本棚に入れています
本棚に追加
第2章 なぞなぞ
「影山さん、これは今からお話しすることとは直接は関係がないのですが」
「何でしょう?」
「ヒルとクモの共通点ておわかりになりますか?」
「ヒルってあの血を吸うヒルですか?」
「はい」
「クモは糸を出すクモですよね?」
「はい」
影山は三日月がどうしてこんな質問をしたのかわからなかった。
「すみません。今からお話しする中にアリとクモの話が出て来るんです」
「アリはせっせと巣に餌を運ぶあのアリですよね?」
「はい」
影山はこれからイソップでも語られるのかと思った。
「それでふとヒルとクモのことが浮かんで来てしまって」
するとそこに鈴木がちょうどコーヒーカップを3つお盆に載せて戻って来た。
「先生、アリとクモって何の話ですか?」
「うん。いまちょっとヒルとクモの話が出てね」
「アリとキリギリスではなくてですか?」
「キリギリスは関係ないんだよ。ヒルとクモのなぞなぞなんだよ」
「でも今アリとクモと聞こえましたが」
「うん。それはこれから出て来る話らしいんだけどね。その前に頭の体操をということで、三日月さんがヒルとクモの共通点は何かと聞いてきたんだよ」
「どっちも気持ち悪いです」
それには鈴木が即答した。
「なるほど、それもそうだね」
影山は鈴木の答えを聞いて微笑んだ。しかし、三日月は漢字博士の異名を持つ人物である。まさかそれが答えとは到底思えなかった。
「三日月さん、このなぞなぞはあなたが出すくらいですから、漢字に関係あるのですよね?」
「はい」
「漢字ですか?」
漢字のなぞなぞだとわかって鈴木が首をひねった。
「でしたらわかりました」
「先生、何ですか?」
「鈴木君、わからないかい?」
「はい」
「そうか、ではこれから三日月さんが話し終わったら、その時に答えを教えてあげよう」
「先生、それって酷くないですか?」
「ううん。君に考える時間をあげただけさ」
三日月は目の前の二人の会話を笑って聞いていた。しかし影山が、ではお話しくださいと言いながら三日月を見たので、三日月はわかりましたと言って話を始めた。
最初のコメントを投稿しよう!