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「リオ、、、いや、エリアン」
透き通る低い声で、
リオナの偽名を呼ぶ男性がいた
店の女の子も、飲みに来ていた女性達も
うっとりしながら見つめる先に声の主がいる
簡素な服装だが質の良い生地を使い
座っていながらスタイルが良く
右手をあげ微笑んだ姿
テオシリア大公だ
時間のある時はリオナの店に来て
リオナの働きをながめて過ごす
この店のもう一つの名物だ
「テオシリア様またいらっしゃって大丈夫ですか?」
「この前はファイル様(テオシリアの秘書)が
テオシリア様を探して大慌てでしたのに」
心配そうに訪ねる
その顔を優しそうに見つめるテオシリア
そんなリオナの右頬に手を添えて
優しく微笑みかけ
「ここにいる事は伝えたから大丈夫だよ」っと
流石のリオナも赤面してしまう
暖かくて大きい手
貴族も平民もわけ隔たりなく接してきた
領主の大公
誰よりもリオナに手を差し伸べて
救い守ってくれる
「終わりまで待つから」
そう言いいつものようにお店の片隅で
リオナの仕事ぶりを見守っている
「もうリオナに惚れてるよね」
女性スタッフが口にする
噂の的になっているが、リオナは、
鈍いのか気づきもせず
テオシリア大公を待たせてはいけないと
手際よく仕事を終わらせる
帰る準備をして外に出ると
テオシリア大公が、スマートにエスコートをしながら待たせていた馬車に連れていく
テオシリア大公の微笑みは
いつまでもリオナに向けられる
初めの頃は恥ずかしくていたたまれなかったが、
いつのまにか自然と慣れて
この空間が居心地良く感じるようになってきた
時折見せるテオシリア大公の視線を感じながら
今日もまた安らぎの時間を過ごしている
「リオナ着いたよ」
また自然にエスコートされ馬車をおり
子供達の待っている屋敷に帰っていった
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