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「エリアン2番テーブルにビールお願い」
厨房から髭面でガタイのいいエプロン姿の
店の亭主が威勢よく冷たくて程よい泡加減のビールをカウンターの前に出した
「はい、マスター」
スラリと姿勢が良く
銀髪を一本で縛り、少し吊り上がった赤目の
とても綺麗な女性がそのビールを運ぶ
愛想は良くないが、
文句も言はず朝から晩まで働
く、どの女の子より優れている
あまり笑わないが、綺麗な顔と
よく働く姿勢にここにやってくる
客のほとんどを虜にしている
平民だと思われているこの女性は、
没落貴族の娘
リオナ、アマンベルク
没落とは言え貴族であるリオナは
エリアンという名の偽名を使って
下町で働いている
もともとアマンベルク男爵は、
土地を開拓しながら富を得ていたが、
突然の崩落事故で夫妻をなくし
残った二人の娘は、
姉アリアナは、フィアンセの子供を孕っていたが
結婚前にフィアンセが、事故死そのまま
結婚しないで子供を産んで
男爵を継いだ妹の助けを借りながら
育てていたが娘が10歳の時に
病気でこの世を去った
姉アリアナの子供がリオナである
妹アメリアは持ち前の実業家を発揮していたが、
男爵を継ぐために条件は悪かったが
婿に来てもいいという貴族からの
婿をもらって二人の娘たちを産んだ
リオナを二人の娘と同じように
大切に育てていたが
幼い頃から
体が弱く婿として来た男も、
初めは、優しかったものの徐々に
ロクデモナイ本性を出し
アメリアは心身ともに蝕まれて行った。
リオナが15歳の歳に、
5歳と2歳の娘たちを置いてこの世を去った、
それからは、事業のセンスもない
婿のせいでアマンベルクの事業も下降状況で、
多くの負債を抱えて没落貴族へと落ち
お金がなくなったアマンベルクと娘二人を捨て
婿は家を出た
全盛期の一割しか稼働してない家業を経営しながら、返済しつつ
姪っ子の面倒を見ていたリオナは下町に出稼ぎに行き暮らしていた。
そんな事情をただ一人知る人物がいる、
この北部の領主である、テオシリア大公
15歳で当主を継ぎ魔族を撲滅しつつ北の開拓を
進めていき、今の皇帝の次に権力があると言われた人物だ
国随一の美貌で多くの女性を虜にしているが
いまだに独身で 恋人もいない
リオナより10歳年上で
下町に出稼ぎに行くリオナを誰よりも心配し
負債の肩代わりも申し出るが、
多くの負債を抱えて税金も免除してもらったひと、領土に迷惑かけてるにも関わらず居続けている自分達にこれ以上の恩恵をいただくわけには行かないとリオナは、断固として拒否し続けている。
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