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「陸軍には航空戦艦があと3隻あるんだが、2隻は整備中であとの1隻『ヒンデンブルク』は南大陸の竜人族どもに備えているから出せなかったんだ。本当は4隻の航空艦隊で来たかったんだけどね。」
「そぉですか……」
航空艦隊を指揮する権限は少将以上だ。
いくら皇族でも少佐にンな権限はない。むしろこのご時世に1隻でも回せたんだから忖度が酷い、と私でも思ってしまった。
帝国の南には『ロマーニャ公国』という小さな国があって、更にそこから海を超えて南へ渡ると、竜人族の治める大国『ヴァルシャ帝国』がある。
そんなに遠い国と一体どうして戦争しているのか?2人の兄は何でそんなところまで命を賭けて出征したのか?私には正直意味が分からなかった。
「一体どうしてそんな遠い国と戦争してるんです?」
「これは我が帝国だけの戦いではない。人類解放の戦いなのだ。」
私の問いかけに、明後日の方を見つめて殿下は拳を握りしめた。
「ヤツらの国では竜人族が支配者で、人間は他の蜥蜴人や半鳥人どもと一緒に『奉仕種族』として扱われている。つまりヤツらは人間を奴隷扱いしてる訳だ、全くもって許し難い!」
「……。」
奴隷女とイチャついてたお前が言うな── 喉元まで出かかったその言葉を、私は賢明にも飲み込んだ。
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