10.恋人

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「本当にいいのか…?」  悠哉の上に跨り、指で頬を優しく撫で上げた彰人は不安そうにそう尋ねた。 「いいって言ってるだろ、せっかくゴムもローションも買ってきてくれたんだし…」  数分前、男同士でやるにはまずゴムとローションが必要だと彰人に言われ、そういった知識がなかった悠哉は買ってくるか?と彰人に聞いたところ「いや、俺が行ってくる」とすかさず断られた。そしてものの数分で戻って来た彰人の早さに驚きつつも、緊張で恐ろしいほど激しく音を立てている鼓動をなんとか落ち着かせようとしていた。  そして彰人に押し倒され、今の状況に至る。抱いてくれと言った手前、今更怖気付いたようなことは絶対に言えないため「いいからはやく…」と未だに心配そうな表情を浮かべている彰人の首に手を回した。 「…っ、本当にお前は俺を誘惑するのが上手いな…。分かった、だけど少しでも不快に感じたらすぐに言うんだぞ」 「…ああ」  悠哉が頷くと、彰人は悠哉の額に優しくキスをした。耳、首筋、鎖骨と彰人の唇が悠哉の肌へと降りてくる。その度に身体がびくりと反応してしまい、そんな自分が恥ずかしくて目をぎゅっと瞑ることで精一杯だった。  すると突然、彰人の動きがピタリと止まった。不思議に思い目を開けると、悠哉の首筋に視線を向けながら険しい表情を浮かべている彰人の姿が目に入った。 「どうしたんだ…?」 「いや、これを見たらまた無性に腹が立ってな」  険しい表情を崩すことなく低い声でそう答えた彰人になるほどな、と納得した悠哉は「御影につけられた痕のことか」と痕がつけられたところを指で撫でた。 「見せつけられているみたいで本当に腹が立つ、俺だってまだつけたことないのに」 「だったらお前もつければ?」  嫉妬心を顕にした愛しい恋人を前に、そう言わざるを得なかった。悠哉の言葉を受けた彰人は目を丸くすると「いいのか…?」と瞳をキラキラと輝かせている。本当に可愛いやつだな、と悠哉は心の中でくすりと笑った。 「見えないところならな」  悠哉がグイッとワイシャツの襟を下げ、より首元を露にすると彰人の喉がゴクリとなった。そのまま彰人は悠哉の首筋へと顔を埋め、唇をあてた。 「ん…っ」  彰人に首筋を吸われ、悠哉の興奮はより一層高まっていく。御影にされた時はあんなにも不快だったのに、相手が彰人だと快感へと変わってしまう。自分が如何に彰人のことを好きなのか思い知らされたようで、悠哉は堪らない気持ちで彰人の頭を抱きしめた。 「痕…ついたか…?」 「ああ、ばっちりだ。これを見てると本当にお前が俺のものだって証明されているみたいで、とても気分がいい」  彰人は自分がつけた痕を愛おしそうにうっとりとした瞳で眺めている。そのまま彰人は悠哉のワイシャツに手をかけると、巧みな手つきでボタンを器用に外していく。ものの数秒で露になってしまった悠哉の肌、その上をゆっくりと撫でるように彰人の指が滑り落ちていく。  悠哉はビクリと身体を反応させつつも、口に手を当てなんとか刺激に耐えていた。しかし、そんな悠哉の姿に彰人は手を止めてしまう。 「やっぱり怖いか…?」 「え…っ?」  彰人ははだけたワイシャツを直すように悠哉の肌を隠し、優しく髪を撫でた。 「さっきから震えている」  彰人にそう指摘され、悠哉は初めて気がついた。確かに自分の腕が震えている。悠哉自身怖いなどといった気持ちは一切なかったのだが、初めての刺激に悠哉の身体は恐ろしく緊張してしまい、そのせいで震えてしまったのかもしれない。  そんな悠哉の姿が彰人には怖がられているように見えたのだろう、心做しか悠哉のことを心配そうに見つめるその瞳が、悠哉には怯えているように見えた。 「やっぱり辞めよう、これからゆっくり慣れていけばいいんだ」  彰人は悠哉の上から退こうと体を上げるが、悠哉はそれを許さなかった。 「怖いんじゃない、初めてだから…馬鹿みたいに緊張してるだけなんだ…」  緊張で震えているなんてみっともないと思いつつも、彰人のことが怖いから震えているのではないと証明するために本当のことを伝える。先程から彰人に触れられる度に心臓が跳ね上がるほど悠哉は緊張していたのだ。 「自分以外の人間にそんなところ触られるのだって初めてだし…どうすればいいか分からないんだ…」  悠哉は恥ずかしくて彰人の顔を直視することが出来なかった。体の隅々までも彰人に見られてしまうなんて、悠哉にとっては恥ずかしくてたまらない事だった。セックスという行為がこんなにも恥ずかしい気持ちにさせられるなんて悠哉は知らなかったのだ。 「怖い訳では無いのか?」 「ああ、だから辞めないでくれ。初めてなんだから多少ぎこちないのは許してよ」  悠哉が力なく彰人の腕をギュッと握ると、彰人が悠哉の唇にちゅっと短いキスを落とした。「そうか、そうだよな、初めてなんだからそりゃあ緊張するよな」と優しい笑みを悠哉に向ける。 「だけどお前には気持ちよくなってもらいたい、だから俺に身体を委ねてお前は楽にしててくれ」  彰人の低い声が悠哉の鼓膜を刺激する。楽にしててくれって無理なこと言うなよ、と内心彰人に文句を言いながらも「努力する」と悠哉は眉を下げた。  胸、腹、腕と彰人の舌が悠哉の肌を隅々まで伝っていく。舌の柔らかい感触が肌に触れる度にゾクゾクとしたものが悠哉の下半身へと刺激した。  そして彰人の手が悠哉のベルトへと伸び、カチャカチャと金具が摩れる音が聞こえてくる。「脱がすぞ」と彰人は確認を入れると、悠哉のズボンと下着を下げた。 「…っ」  悠哉の恥ずかしさは最高潮まで達した。彰人が自分のモノを凝視している、その事実だけで悠哉の顔は沸騰しそうなぐらい熱くなってしまう。 「見るなよ…っ」 「それは無理な頼みだな、…触ってもいいか?」  彰人は悠哉のモノから視線を外すことなく、悠哉に問いかける。悠哉はなかなか言葉が出てこなかったが「……ああ…」となんとか言葉を絞り出した。  彰人の手がゆっくりと悠哉の勃ち上がり始めたモノに触れる。その瞬間、悠哉の腰はびくりと大きく跳ね上がった。自分以外から与えられる刺激が初めてだった悠哉の身体は、彰人が手を動かす度に大きな刺激として全身を奮い立たせた。 「あ…ん…っ、彰人…っあぁ…っ」 「悠哉…、気持ちいいか?」 「わっ…かんない…んっ…」  自分の口からはなたれる甘ったるい声に悠哉は困惑した。本当に自分の声なのか疑ってしまう。こんな声恥ずかしくて彰人に聞かせたくない、そう思った悠哉は自分の手で口を押えた。しかし、すぐに彰人に腕を捕まれ「押さえるな、お前の声を聞かせてくれ」と言われてしまう。 「彰人…っ」 「イきそうか…?」  彰人が悠哉の熱く火照った頬を優しく撫で上げた。  ――気持ちいい、気持ちいい、いつの間にか悠哉の頭の中は恥ずかしさどうこうよりも、気持ちがいいということしか考えられなくなっていた。 「あぁ…っ彰人…っ、もうっ…イク…っっ」  悠哉が大きく身体を仰け反らせると、悠哉のペニスからは勢いよく白濁が飛び出し、彰人の手を汚した。  達した余韻ではぁはぁと呼吸を整えている悠哉の頬を、彰人は優しく撫で上げる。 「大丈夫か?」 「…ん」  悠哉が短く返事をすると、彰人にキスをされた。彰人の舌が悠哉の唇に触れ、悠哉が小さく口を開くとそのまま舌が入ってくる。今しがた達したというのに、彰人に口内を犯されていく度に悠哉の腰は再度疼き始めた。舌を絡め取られ、彰人の舌の柔らかい感覚に悠哉は気持ちよくてどうにかなってしまいそうだった。 「んっ…ふっ…ぅ」 「はぁ…っ、悠哉、足開いてくれ」  彰人の両手が悠哉の太ももを掴むと、ガバッと大きくM字に悠哉の足を開かせた。全てが彰人に丸見えであるこの体制に悠哉は「ちょっ、彰人…っ」と足を閉じようとするが、彰人に押さえられているためビクともしなかった。 「嫌か…?」 「嫌っていうか…流石に恥ずかしい…」  悠哉が素直に答えると、嫌がっているのではないと安心した彰人は「大丈夫だ、すぐに恥ずかしさなんて気にならなくなる」とローションを手に取り自分の手に垂らした。 「それ使うとどうなるの…?」 「ん?ああ、ナカは傷つきやすいからな、ローションのようなぬるつきがある液体で保護してやるんだ。少し冷たいかもしれないが我慢してくれ」  彰人はローションのついた手で悠哉のアナル周辺へと触れると、円を描くようにゆっくりと指を動かした。冷たいローションの感覚に悠哉は肌をビクリと震わせる。 「…やばい、やっぱりめちゃくちゃ恥ずかしい…っ」  あまりの羞恥に悠哉は腕で自分の顔を覆った。やはり彰人が自分のアナル周辺を触っているという事実に悠哉は耐えられそうもなかった。そんな場所自分でも触ったことなどないというのに彰人に触られているなんて、あまりにも恥ずかしすぎる。 「恥ずかしがっているところ悪いんだが、そろそろ指を入れてもいいか?」  つぷりと彰人の人差し指が悠哉のアナルへとあてがわれる。途端に悠哉の腰はビックリしたように跳ね上がってしまった。彰人の指が俺のアソコに入ろうとしている、考えただけで悠哉の頭はパニックになってしまいそうだった。 「本当にいれるのか…?」 「やっぱり怖いか?嫌なら嫌だと言ってくれ」 「怖くない…けど…」  初めての体験に今の悠哉の胸は不安で溢れそうだった。彰人の事は信用しているし怖い訳では無い、なのに悠哉の身体は不安から硬直してしまっていた。  すると、彰人が身体を上げ悠哉の唇へキスを落とした。ちゅっ、ちゅっ、と短いキスが何度も落とされ、悠哉の口からはキスの心地良さから「んっ…」と意図していない吐息が漏れる。自然と深いものに変わっていったキスはいつの間にか悠哉を夢中にさせた。そんな悠哉の身体は先程と比べ幾分か緊張が解け、それを見逃さなかった彰人は悠哉のアナルへ指をゆっくりと慎重に挿入させる。指の異物感に最初は強ばった表情をした悠哉だったが、彰人とキスをしているうちにとろんとした瞳に戻っていた。  彰人は悠哉のナカをゆっくりと広げるように指を動かしていく。悠哉が痛くないように、辛くないようにと最新の注意を払って悠哉のナカは解されていった。あっという間に二本目の指も挿入され、悠哉のナカを広げていく。なんともいえない感覚を抱いていた悠哉も、彰人に解されていくうちにだんだんと慣れてきたのか興奮を取り戻していき、再度ペニスも勃ち上がり始めていた。悠哉が勃起している事に気がついた彰人は、悠哉のペニスを握り上下に擦り、より強い刺激を悠哉へと与えた。快感に耐えられなくなった悠哉はキスの合間に「んぅ…っ、ふっ…」と甘い声を漏らした。  彰人の唇が離されると、長いキスの余韻に悠哉の頭はボーッと逆上せきっていた。そんな悠哉の姿に彰人の大きな喉仏がゴクリと上下へ揺れる。アナルから指を抜いた彰人は、ものの数秒で自らの衣服を全て脱ぐと、悠哉のモノよりも遥かに大きいペニスをあらわにさせた。  コンドームを取り出した彰人が自分のペニスへと装着している姿に、今度は悠哉の喉がゴクリと鳴った。初めて目にした彰人のペニスは悠哉の予想よりも大きく勃ち上がっていた。自分と同様に彰人も勃起していたことに悠哉は密かに嬉しさを覚える。自分の姿に彰人は興奮して勃起している、その事実が悠哉にとっては胸が疼くほど嬉しかったのだ。 「興奮してる?」 「馬鹿なことを聞くなお前は、これを見て分からないのか?興奮してるに決まってるだろ」  彰人は余裕のないような表情を浮かべ、再び悠哉の太ももをぐいっと持ち上げた。  彰人のそそり立つようなペニスは、今にも悠哉のナカに入りたいというように熱を帯びていた。本当に自分のナカに目の前のブツが入るのか悠哉は不安に思ったが、彰人なら自分を傷つけるようなことはしないという絶対的信頼があったため「きてくれ…」と彰人の頬を撫で上げた。 「本当にいいのか…?怖くないか?嫌じゃないか?」 「怖くもないし嫌でもない、もう俺はお前を拒絶したりしないから」  柔らかく目を細めた悠哉の姿に、彰人の青い瞳はまるで水面のように揺れ動いた。彰人自身、悠哉とセックスをすることにどこか恐怖を感じていたのだ。それはまた拒絶されるのではないかという、悠哉を失うことへの恐怖だった。しかし今の悠哉の嘘偽りのない真っ直ぐな言葉に彰人の恐怖心は消え、いつの間にか目の前の男に対する愛おしいという想いしか存在しなくなっていた。 「ありがとう、…いれるぞ」  彰人は悠哉に言葉をかけると、自分のペニスを悠哉のアナルへとあてがい、ゆっくりと挿入させていった。明らかに指とは比べものにならない質量のものが自分の中に入っていく感覚に、悠哉は「…ぐっ、は…ぁ…っ」と苦しそうな声を漏らした。 「辛いか…?」  彰人は一度腰の動きを止めると、悠哉の前髪をかき上げ汗をつたわせているおでこに手をあてた。 「辛くない…辛くないから…っ」 「嘘をつけ、すごい汗だ」  彰人が悠哉の汗を拭うと、悠哉は彰人の手を取りギュッと握った。 「確かに…ちょっと苦しいけど…お前が俺の中にいるって分かるとそこまで悪くない気分…」  そう言って微笑んだ悠哉に、彰人のペニスは興奮を示すようにさらに大きくしていた。その事に気がついた悠哉は「…っ?なんか大きくなった…?」と不思議そうな瞳で彰人を見た。 「これ以上俺が喜ぶような事を言うな、まだ全部入ってないというのに達してしまいそうでやばいんだ」  顔を赤くした彰人の姿に「ふっ、ふはは」と悠哉は肩を揺らして笑った。 「余裕がないの、俺だけじゃないんだな」 「ああ、だから俺を煽るな」  悠哉はキスをせがむように、右手で彰人の頭を引き寄せた。彰人がそのまま悠哉の唇を塞ぐと、二人は夢中でキスをした。キスの合間に彰人は腰の動きを再開させ、先程よりも深く悠哉の中へと入っていく。とてもゆっくりだが、それでも確実に二人の繋がりは深まっていった。 「んっ…あっ…ん…っ」  彰人のモノが深く入っていくにつれて、苦しいというよりも気持ちがいいという感覚を取り戻しつつあった悠哉は、快感の中蕩けている脳で今という幸福を実感していた。自分が愛している男に溢れんばかりの愛を与えられている、こんな幸せな気持ち今までに味わったことなどなかった。 「は…ぁ…悠哉…、全部入ったぞ…って悠哉!?お前泣いてるのか…?!」  自分のペニスが全て入ったことを悠哉に伝えるために顔を上げた彰人は、悠哉の顔を見るなり焦ったような態度で声を上げた。  悠哉の瞳には涙が溜まっており、悠哉が瞬きをした途端涙の粒はつーっと頬を綺麗につたっていった。 「泣くほど痛いのか?苦しいか?」  彰人は顔を青ざめ今すぐにでもペニスを引き抜こうとしたが、悠哉はそんな彰人の腕を掴んだ。 「違う…っ、痛くもないし辛くないよ…これは違うんだ…っ」  悠哉の涙は止まることなく溢れ続けた。悠哉自身、何故こんなにも涙が出てくるのか分からずに戸惑ってしまう。そんな悠哉の涙を拭いながら、彰人は心配そうな表情を浮かべ悠哉の言葉を待っていた。 「お前と…彰人とこうして繋がることが出来たんだって思うと嬉しくて…っ、こんなこと初めてなんだ…俺が心から愛されたいって思ったお前にこんなに愛されるなんて…っ」 「悠哉…っ」  彰人はぶわっと沸き立つ悠哉に対する愛おしいという気持ちから抗えず、悠哉のことを力強く抱きしめた。 「最悪だ…こんな時に泣くなんて…っ」 「そんなことない、お前の涙は初めて見たがすごく綺麗だ」  彰人の舌が悠哉の涙に触れ、ぺろりと舐めた。まさか泣き顔を褒めらるうえに涙を舐められるなんて思ってもみなかった悠哉は顔を真っ赤にして「…っ〜〜」と声にならない声を上げた。 「ほんと…有り得ない…」 「照れているところ悪いんだが、そろそろ動いてもいいか?」  彰人は「俺はそろそろ限界かもしれない」と眉を下げ紅潮させた頬に汗をつたわせながら悠哉に訴えかけた。  未だに止まることの無い涙のせいでぼやけた視界に映る愛おしい恋人の姿に「お前の好きにしてくれ」と悠哉は目を細めた。 「ありがとう、…動くぞ」  悠哉の涙を指で優しく拭った彰人は、ゆっくりと腰を前後に動かし始める。彰人のペニスが自分のナカを緩やかにピストンしている感覚に、悠哉の腰は甘く痺れるような快感に襲われた。奥を突かれる度に悠哉の口からは「あっ…ああっ、彰っ人…っ」と喘ぎ声が溢れてしまい、前を触られていないというのに射精感がつのってきた。 「悠哉…悠哉…っ」  彰人の腰の動きは徐々にスピードを上げていき、悠哉の名前を呼ぶその声も次第に荒くなっていた。普段はクールで冷静な男が自分を抱いていることで息を荒くしてまで興奮している、その事実に悠哉の胸は無性に締め付けられていきもっと乱れている彰人の姿を見たいとまで思ってしまっていた。 「好き…好き…っ彰人、好きだ…っ」 「悠哉…」  悠哉は己の腕を彰人の首に巻き付け、瞳を揺らめかせながら彰人に溢れでんばかりの愛おしい気持ちを口にする。彰人のことが好きで愛おしくて愛したい、狂ってしまいそうなまでの愛が悠哉をおかしくしてしまい、彰人とならどこまでも深く堕ちていきたい、悠哉はそんな想いをつのらせた。  彰人は限界だと言うように「お前は本当に…っ」と悠哉の唇に勢いよく噛み付くと激しいキスをした。 「んん…っ、んっ、はぁ…彰人…っ俺、もう…っっ」 「悠哉…っ好きだ、お前を一生愛している…」  悠哉の鼓膜を刺激するその低い声に、悠哉の興奮は絶頂まで達し味わったことのない快感に身体が包まれた。ビクビクっと悠哉の腰が大きく仰け反ると、「くっ…」と彰人も小さく呻き、悠哉のナカでペニスを震わせた。  悠哉はイッた余韻と、彰人の精液が自分のナカで溢れている感覚に頭をボーッとさせながら天井を一点に見つめていた。  彰人に愛されている、こんなにも大きすぎる愛で包まれていることの幸せに悠哉の脳は蕩けてしまいそうで、幸せすぎてどうにかなってしまいそうだった。愛している男に求められている、これ以上ない喜びに悠哉は瞳をゆっくりと閉じた。
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