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隔靴掻痒
そういえば、そろそろ時間じゃないか。お腹が空いてきた。太一、早く食事を持ってきてくれ。
「おーい、太一!」
すると、太一が俺の側にやって来た。
『デコポン太、おすわり』
サッ。俺は言われたままにちょこんと座った。
「太一。それじゃねえよ。早く食べ物を持って来いってば」
何を思ったのか、太一はしゃがみこんだ。
『お手』
言われるままにポンと太一の手に肉球を載せた。ついつい自然に体が反応してしまった。
「ちげーよー。食べ物だってば」
太一はニコニコしながら俺の頭を撫でた。勘弁してくれよ。
『おかわり』
ポン。またしても俺の手は勝手に動いていた。
「おいおい、太一。何度言えばわかるんだ。食べ物だよ。た、べ、も、の。注意深く話を聞いて相手の身になって考えてくれ。現代社会で求められているのは傾聴と共感力だろ!」
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