雪の思い出

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「あら〜」 「あれ〜」 「あ〜らら〜」 「ここはどこ?」 「お庭だよ」 「お母さんとお父さんに見つかっちゃったんじゃ。あそこ、窓のところ3人バイバイしとる」 「バイバーイ」 「さよならー」 「ありがとうなー」 「バイバイーーーイ」 「……うん」 「さよならねー」 「うん」 「うん」 「……あのー、こんな時に申し訳ないんじゃが、ワンちゃんがこっちをジーとみとるんじゃ」 「近づいて来てる」 「あー、あの子は大丈夫。吠えたりしないし、食べたりしない」 「そ、そうか?」 「こ、こんにちは」 「久しぶり」 「ど、どうも」 「知り合い?」 「そんな気がするんだ」 「よ、よろしくな」 「みんなあっち行っちゃったね」 「ごはんを食べに行ったんだね」 「いいなー。ご飯。ま、わしらもそろそろ終わりにするか。この先は流石にあるまい。わいは今回頑張った。あの子を少しは励ました。気がするんじゃが、まあ気のせいか。わしの声なんて聞こえんもんな」 「聞こえたよ」 「聞こえた。そして聞いてた。あの子も。ちゃんと」 「そうか? そうか。 なら、わし、もういいや。十分じゃ」 「私……」 「うん?」 「どうした?」 「わかったの!」 「うん?」 「なんじゃ?」 「私はここに来たかった。雪になって、あのグランドに落ちかった。みんなにあって雪だるまになりたかった。……そして、ここに来たかった」 「うん」 「そうか。……そうかもしれんな」 「絶対そう。私がここに来るのを選んだの。うん」 「そうだね」 「そうじゃな」 「ありがとーーー!」 「……うん。また来雪」 「……わし、もう十分じゃ」 「しんしん」 「しんしん」 「しーんしん」 「しんしん」 「しんしん」 「しーんしん」 Fin
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