雪の思い出

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「あら〜」 「あれ〜」 「あ〜らら〜」 「私、消えなかった」 「僕も、消えなかった」 「わしもじゃ」 「雪だるまだね。私」 「僕も」 「わしもじゃ」 「雪子ちゃんって呼ばれた」 「僕も」 「わしもじゃ」 「あなた達、雪子ちゃんじゃない」 「え、だって同じ雪だるま」 「わしもじゃ、わし、雪子ちゃん」 「私が雪子ちゃん」 「僕が雪子ちゃん」 「わしが雪子ちゃんじゃ」 「……いいわ。許してあげる。みんな雪子ちゃん」 「やったー」 「ヒャッホー、この年にしてはつ雪子ちゃんデビューじゃ」 「私、なんだか昔はボールになって投げられた気がするの」 「あっちで、みんながやってるよ」 「雪合戦じゃ」 「楽しかったな。私のボールは当たらなかったけど、みんな笑ってた」 「あっちから笑い声が聞こえるね」 「えーのー、青春じゃ」 「私、ここに来たかった気がする」 「うん」 「そうじゃな。だから風に運ばれて来たんじゃろう」 「そう」 「そうなんだね」 「そうなんじゃ」 「ここで静かに溶けるのね」 「そうなんだね」 「そうなんじゃな」   校庭に日がさし、周りがキラキラ輝いた。    ○
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