雪の思い出

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「あら〜」 「あれ〜」 「あ〜らら〜」 「隣に雪男君ができたわ」 「後ろには雪江ちゃん」 「こっちには雪坊じゃ」 「何だか騒がしくなったね」 「何だか楽しくなったね」 「何だか嬉しくなるのう」 「何だか家族ができたみたい」 「僕たち一番さいしょにできたから、一番年上だ」 「じゃ、おじいちゃんじゃな。いや、雪子だからおばあちゃんか」 「いやよ。私たちはお母さん」 「じゃ、隣にいるのはお父さん?」 「雪坊はまだ、赤ちゃんじゃな」 「友達もいっぱい。見てあそこ」 「本当だ、いっぱい作ってる」 「友達になれるかのう?」 「動けないのが残念ね」 「おーい、そっちの雪だるまくーん」 「元気でやってるかーい?」 「返事があった気がするわ」 「うん。返事があった気がする」 「確かに。元気でやってるよーって聞こえた気がする」 「楽しかったね」 「楽しかったよ」 「まさかまさかじゃ。家族と友達ができるとは」 「そうね」 「そうだね」 「動けんのになあ……」 「でも、そろそろみたい。隣の雪男さんは溶けて来てる」 「あー、日差しにあたったから」 「次は、わしらじゃ」 「よーく見とこ」 「うん、よく見とく」 「そうじゃな。ありがとう」    ○
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