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翌日僕はまた裏路地に向かいあの店について住人に聞き込みをしました。しかし誰も『狐狸』を知る人はいません。
諦めかけた時通りかかった車椅子の老人に駄目元で訊いてみたら、あの店を知っているとのこと。
彼が言うには『中華食堂狐狸』は昭和25年にできた中華料理屋で、当時は大変賑わっていたそうです。
「あそこの夫婦にはお世話になった、戦争で親を亡くしたワシに無料で料理を食わせてくれてな」
老人は言いました。
「その店は今は……」
僕が訊くと、
「お孫さんが継いで東北で店開いたって聞いたよ。またあの焼きそばが食べたいなぁ……」
と懐かしそうに言っていました。あの店が今も続いていることが凄く嬉しかったです。
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