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月下美人 危険な快楽
「おめでとうございます!」
焚かれるストロボの光の中、佐原 青(15歳)は賞状と盾を手に微笑んでいた。
<週間フォトコンテストユース部門>で最優秀賞を受賞したその写真は青色に染まった月下美人。夜の闇に触手を広げたその花は、到底、高等学校一年生の少女が撮れるような作品ではなかった。
「佐原さん、なにか一言」
「危険な快楽」
「も、もう一度お願いします」
「月下美人の花言葉は危険な快楽です」
三つ編みを解き、マイクに向かい囁いた 青 の妖しい美しさと作品の魅力に取り憑かれた大人たちは、青 を奇才と囃し立てた。
時を同じくして<週間フォトコンテストユース部門>に一枚の写真が入選したが、青 の話題に独占され評価される事はなかった。その写真の撮影者は 青 が所属する写真部の三年生、蒼井 拓真(18歳)だった。
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