友達なんかじゃいられない

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 毎日毎日、瑛太に好きだと言われる。俺は歯切れの悪い返事しかできない。 「何で毎日好きって言うんだ?」 「好きって言い続けたら好きになってくれるかもしれないでしょ」 「ならないと思うよ」  だって友達だし。 「そう、じゃあもう言うのやめるね」  いつものような優しい笑顔を向けられて、胸にチクッとトゲが刺さったような痛みを感じた。 「いや、やめて欲しいわけじゃなくて……」  何でこんなこと言ったんだろう。いつも好きだと言われて、返答に困っていたのに。 「僕は達也のことが好きだから、僕のことも好きになってもらいたくて好きって言ってる。好きになってもらえないって分かってるなら言う意味ないから」  眉尻を下げて笑う瑛太に何も言えなくなった。  ……間違えたかもしれない。でも、正解が分からない。俺は瑛太のこと友達としか思っていないはずなのに。  その日から本当に瑛太は俺に『好き』と言わなくなった。喋るし遊ぶし、一緒にいて楽しい。俺の求めていた友達の瑛太なのに。  日に日に心の中で釈然としない気持ちが育って行く。どうすればスッキリしたんだろう。 「合コン行きたいやついるか?」  昼休みにクラスメイトが声を上げると、至る所で手が上がる。 「あっ、僕も行ってみたい」  瑛太が手を上げて、全員が目を見張る。 「瑛太が来るなら可愛い子集めてって言いやすいけど、お前って達也にベッタリだったけど女の子に興味あるの?」 「僕もそろそろ幼馴染離れしないとね。今の所女の子に興味はないけど、いい子に出会えたらいいな、とは思ってるよ」 「よし! 瑛太連れてってやるよ!」 「ありがとう。楽しみ」  盛り上がるクラスメイトを遠くに感じながら見ていた。  瑛太が合コンに参加する? 俺のこと好きなんじゃなかったのかよ。そんな言葉が出そうになり愕然とした。友達を望んでいるのに、瑛太が別の誰かを好きになる可能性に動揺する。  参加するメンツが決まったようで、瑛太はクラスメイトと円陣を組んでいた。  俺は気落ちしたまま午後の授業を受けた。  瑛太と別々に帰ることなんて滅多にない。今頃瑛太は女の子たちに囲まれているのだろう。見た目もいいし、穏やかだし、ほっとく方が無理だと思う。  家に着いても瑛太のことばかり考えてしまい、心は暗く沈んだ。
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