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「あの子ってノロくない?チビだし」 「発達障害ってやつじゃん?ママも言ってた」 「ねえ(みお)、あいつはもう置いて行こうよ」 小学校は近所の子たちと登校班で通うことになっているんだけど。最近ずっと、班員の子たちの機嫌がとっても悪い。理由は転校してきたばかりの男の子が、時間通りに待ち合わせ場所に来ないから。 「じゃあ私、あの子の家まで迎えに行ってくるよ。みんなは先に出発してて」 「いや、(みお)も私らと学校行こうよ」 「班長の(みお)があの子を置いてくって判断したらいい話じゃん」 「でもあの子、おばあちゃんが亡くなったばかりで。それで転校してきたって先生から聞いたでしょ?そんなに冷たくしたら可哀そうだよ」 「辛気くさっ」 誰かがやけに大人びた悪態をついたけど、みんなも同調しているのがわかった。でも、大事な人を失って、慣れない場所で生活をしているあの子を無視できなかった。 「とにかくみんな、先に行ってて?」 班長としていけないことだったけど、私は班員の子たちの気持ちをおろそかにしてしまった。だから……それから少しずつ登校班で無視され、学校でもクラスのグループから外されるようになってしまった。 「ねえ、一緒に帰ろう?」 呼びかけてもみんな、顔を見合わせて含み笑いをしてから私を避けて帰っていく。プリントを飛ばされたり、ノートを隠されたこともあった。同じ登校班には同級生もいる。彼女たちに従わなかったからこうなったのかな。 じゃあ、どうしたらよかったのかな?
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