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「場所取り?」
情けない私のパシリ事情をまったく知らない浩太くんは小首をかしげてから、フルフルと頭を振った。
「場所取りするようなやつじゃなくって、澪ちゃんと一緒にあそこを歩きたいだけ!一緒に桜見て、一緒にキレイだねって言いたいだけだよ!」
一緒に?一緒に歩いてくれるの?一緒にお花見……してくれるの?
大きくなった浩太くんとまた2人で歩く遊歩道を想像する。そこは春色に明るくて、なんだか温かそう。
「行きたいな。浩太くんとお花見」
「ほんと!?」
「一緒に歩いてくれるんでしょ?」
「もちろんですっ!」
私の両手を握りしめて頬を緩めた浩太くんにつられて、私も笑ってしまう。はたから見たら仲のいい姉弟にでも見えてるのかな?
「おい!なにしてんだ新入生代表っ!?」
あれ?浩太くんの背後にはいつの間にか相馬くんがどっしりと立ってる。しかもなぜか怒りオーラ全開だ。
「代表?浩太くんって新入生代表なの?」
「なんかそうみたい。なんでだろうね?」
「入試の成績がトップだったからだろっ!で!式典中に挨拶あるから朝一で練習しに来いって言ったろ!」
「そうだっけ?すみません」
「しかも抜け駆けしてんなっ」
「なんのですか?」
真っ赤な顔で何かブツクサ言っている相馬くんに連行されていく浩太くんは、姿が見えなくなるまでこちらに手を振っていた。
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