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同級生からの嫌がらせは中学校にあがってからもネチネチと続いた。 勉強だけは得意だった私は人の悪意に対する脅えを紛らわせるために学業に集中して、彼女達とは別の高校への進学を果たした。 だけど安心したのもつかの間。今度は担任の浅野(あさの)先生にやたら頼み事をされるようになる。 「入谷(いりや)!これとこれ、200枚ずつコピーして先生の机に置いておいてくれ」 「誰かが教壇に絵具こぼしてとれないんだよな。入谷(いりや)、掃除しといてくれ」 「わかりました」 雑用を私に押し付けた先生が、いつも空き教室でゲームしてるのは知ってたけど。人の意に反したことをして、またいじめられるのが怖かったから黙って従った。 「なあ入谷(いりや)?今年の桜は早咲きらしくてな。3月末には満開らしい。だから……」 やっと1年生が終わるころに先生からお願いされたのは、春休み中のお花見の場所取り。聞けば先生が顧問を務めるバトミントン部の恒例行事らしい。 指定された総合公園は毎年花見客で大混雑することで有名で、明け方から大人たちの場所取り合戦となる。私もそれに混ざって走って転んで。それでもなんとか広いスペースを確保した。 「にしても、寒いなぁ」 持たされた大きなシートを広げて一息つくと、地面からの冷えと冷風が押し寄せてくる。 桜の木々の間から拝んだ朝日がやたら幻想的だったけど、独りぼっちでそれを眺めてもなにも感じなかった。
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