君といっしょ

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次の日。 学校が終わって家へ帰るとちゅうで、雨が降り始めた。 持っていた青いかさをさす。 今日は昼から雲が出てくるから、かさを持っていきなさいとお母さんに言われていたのだ。 ……そういえば。 歩いていた足が止まる。 あの家には屋根がなかった。 もしかしたら、雨に打たれているかもしれない。 来た道を引き返して、走って向かう。 思った通り、君は雨に打たれていた。 さしていた青いかさを屋根代わりにして、雨をふせぐ。 ポケットに入れていたハンカチで、君のぬれた身体をふく。 ふき終わると、君は「おなかすいたー!」と、いつものように大きな声で言った。 学校で残してきたパンをあげると、君は「ありがとー!」と言い、あっという間に完食。 ぼくは雨が止むまで、少し雨宿りをする。 もう一枚使っていない大きめのハンカチがあったから、君がかぜを引かないように背中にかけて毛布代わりにした。 雨は、ぜんぜん止みそうにない。 帰りがおそくなるから、もう行くねと言うと、君は「このかさはいいの?」と、ぼくに聞く。 ぼくは大丈夫!君が使って!と言って、家まで走って帰る。 ぬれたぼくを見たお母さんが、かさはどうしたの?と聞かれて、なくしたと言ったらおこられた。 かさで屋根代わりにしてきたけど、大丈夫かな? ぼくの家でいっしょに住めたらいいのに……。 そうだ!いっしょに住んでいいか、お母さんに聞いてみよう! でも、さっきおこられたばかりだから明日にしたほうがよさそうだ。
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