1人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日。
学校から帰ってきて、お母さんに聞いてみた。
最近会っている子を家に連れて来たらだめかな?って。
お母さんはすぐに、ダメと言った。
すごく良い子だよ!って言っても、ダメと言われる。
「もうその子に会うのはやめなさい」
お母さんのその言葉を聞いたら、ぼくはすごく悲しい気持ちになって、家を飛び出した。
君の元へ、走って向かう。
とちゅうで、ぽつぽつと雨が降ってきた。
そういえば、今日も雨が降るってテレビで言っていた気がする。
君の元に着いたころには、たくさんの雨がザーッと音を鳴らしながら地面をたたいていた。
ぼくは全身びしょびょだ。
あそびに来たよと君に声をかけたけど、返事がない。
屋根代わりの青いかさをよけて家をのぞくと、ハンカチだけ残っていて、君はいなかった。
どこに行ったのだろう?
雨に打たれながら、周りを探したけど……いない。
少しはなれた所を探す。
……ここにもいない。
行ったことがない反対の所を探す。
……どこにもいない。
もしかして、だれかに拾われたのだろうか?
それなら良かった。
だって、ぼくの家はだめって言われたから。
ぼくは友達として、君の幸せをよろこばないとね。
君を大事にしてくれる人に拾ってもらって良かったねって、笑顔で言ってあげよう。
でも、君はどこにいるか分からないから言えないし、もう二度と会えないかもしれない。
そう思ったら、なみだが目にたまっていく。
悲しい気持ちがいっぱいになって、ぼくは雨といっしょに泣いた。
最初のコメントを投稿しよう!