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次の日。
学校から帰ってきて、お母さんに聞いてみた。
最近会っている子を家に連れて来たらだめかな?って。
お母さんはすぐに、ダメと言った。
すごく良い子だよ!って言っても、ダメと言われる。
「もうその子に会うのはやめなさい」
お母さんのその言葉を聞いたら、ぼくはすごく悲しい気持ちになって、家を飛び出した。
君の元へ、走って向かう。
とちゅうで、ぽつぽつと雨が降ってきた。
そういえば、今日も雨が降るってテレビで言っていた気がする。
君の元に着いたころには、たくさんの雨がザーッと音を鳴らしながら地面をたたいていた。
ぼくは全身びしょびょだ。
あそびに来たよと君に声をかけたけど、返事がない。
屋根代わりの青いかさをよけて家をのぞくと、ハンカチだけ残っていて、君はいなかった。
どこに行ったのだろう?
雨に打たれながら、周りを探したけど……いない。
少しはなれた所を探す。
……ここにもいない。
行ったことがない反対の所を探す。
……どこにもいない。
もしかして、だれかに拾われたのだろうか?
それなら良かった。
だって、ぼくの家はだめって言われたから。
ぼくは友達として、君の幸せをよろこばないとね。
君を大事にしてくれる人に拾ってもらって良かったねって、笑顔で言ってあげよう。
でも、君はどこにいるか分からないから言えないし、もう二度と会えないかもしれない。
そう思ったら、なみだが目にたまっていく。
悲しい気持ちがいっぱいになって、ぼくは雨といっしょに泣いた。
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