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ぼくが泣き止んだら、同じタイミングで雨も止んだ。
空を見上げると、雲と雲の間から太陽が出てきた。
ぼくを元気づけるかのように、大きいにじがかかる。
君も、どこかでこのにじを見ているのかな。
ぼくが急に家を飛び出したから、お母さんは心配しているかもしれない。
いや、おこってるかな……。
どっちにしても、早く家に帰ろう。
ぼくはにじを見ながら、家へ向かって歩く。
家の近くで、お母さんがぼくを見つけて走ってきた。
お母さんにおこられると思って、目をつぶる。
「どこ行ってたの!心配したんだから!」
……温かい。
ゆっくり目を開けると、お母さんはぼくをだきしめていた。
「だいじょうぶ?」
足元から声がする。
だれだろう?と思って下を見ると、君がいた。
心配そうな声で何度も、ぼくに声をかけてくれる。
そうか。君は、ぼくを探していたんだね。
昨日、かさをささずに走って帰ったから、心配してくれたんだと思う。
「君はやさしいね」
しゃがんで君の頭をなでると、手がぬれた。
ぼくほどじゃないけど、君も雨でぬれている。
「二人とも、早く家に入りなさい」
お母さんがぼくたちに向かって言った。
「この子といっしょに家に行ってもいいの?さっきはだめだって……」
「その子は雨の中、ここまで会いに来てくれたんでしょ?それほど仲がいいって証拠だから、ダメって言えなくなっちゃった。それに、その子可愛いからね」
そう言って、お母さんはゆるしてくれた。
ぼくは、やったね!と言って、君とハイタッチを交わす。
君も「すごくうれいしい!」と、大きな声でよろこんでいた。
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