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私には手がない。
だから、獲物を捕まえることができない。
私には足がない。
だから、獲物に近づくことすらできない。
私には目がない。
だから、獲物を見ることができない。
私には耳がない。
だから、獲物の足音を聞くことができない。
私には鼻がない。
だから、獲物の匂いに気づくことができない。
でも、私には大きな口がある。
獲物が自らこの口を開けてくれさえすれば、
すぐにでも丸呑みすることができる。
そんなバカな獲物はいないって?
いや、それがごく稀にいるんだ。
ダンジョンの奥深く、
宝箱と間違えて私の口を開ける冒険者が。
私は腹を空かせて、ただその時を待っている。
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