紅(くれない)の剣(つるぎ)と黒き仮面

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  やがて多くの人々の信頼を得て、若者は王様になりました。  姉も王妃として王様を助け、子は王子として立派に育ちました。  王家のみんながちからを合わせて、国民のために尽くしました。  こうして王国は、大陸でいちばん豊かで平和な国になりました。  数年後、隣国から有名な魔法使いが王国にやってきました。  魔法使いは、隣国ですでに十分な名声を得ていましたが、つぎは権力を手に入れたいと思っていました。  うまく王様に近づくことのできた魔法使いは、こっそりと王様に魔法をかけました。  魔法使いは、魔法をかけるのに目をつかいます。  王様は魔法使いの目を見て話しているうちに、いつのまにか魔法使いの言いなりになってしまったのです。  そしてとうとう、王様は魔法使いを大臣にしてしまいました。  魔法使いは、大臣という権力を手に入れても、まだまだ満足できません。  つぎに魔法使いは、世界中のすべての富を手に入れたくなったのです。  ところが、世界中のすべての富を手に入れるには、魔法使いの魔法をもってしても不可能でした。  魔法使いは王様とお話をしていて、その昔、王妃が造った貴石を身に着けて王国を手に入れたことを知りました。  ならば自分も王妃に王国中の富を集める特別な石を造ってもらおうと考えたのです。  しかし王妃は、魔法使いが目を使って、人を自分の言いなりにする魔法をかけていることに気づいていました。 「私にはあなたの魔法はかかりません」  と王妃は魔法使いに言い放ちました。  そこで魔法使いは、王子に魔法をかけて、王妃に自分の言うことを聞かせる方法を思いつきました。  ある日、王様が隣国に出かけていない間に、魔法使いは王子に魔法をかけて眠らせてしまいました。  そして魔法使いは、「王様が帰ってくるまでに貴石を造らなければ、王子の魔法は永遠に解けることはない」と王妃を脅したのです。  王様が帰ってきたのに王子が出迎えなければ、王様もおかしいと思うでしょう。  王妃は独りで思い悩みました。  王妃がもう限界だと思った時に、妹の顔が思い浮かびました。
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