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海にきた。
大学の仲間もいっしょだ。
あこがれのサトミもいる。
ぼくは、サトミをチラッと見ることしかできない。赤い水着がやけにまぶしい。
サトミは、ルミといっしょに、水をかけあってはしゃいでいた。
「ふたりともかわいすぎだろ」
隣りにいたレンが言う。
「ニヤけすぎだよ」
ぼくが指摘したら、
「お前もニヤけてるぞ」
と返された。
どうやらお互いさまだったようだ。
「こっち来なよーー」
ルミが声をかけてくれた。
そのときだった。
海パンがもぞもぞしている。
まわりからはわからないだろうけど、ぼくにはわかる。
よりによってなんでこんなときに…
ぼくは天を仰いだ。
「どうした?」
レンが不思議そうな顔をして言う。
「イヤだいじょうぶ」
何に対してわからないが、「だいじょうぶ」ともう一度、小さく唱える。
ぼくは、サトミがいるところに歩き出す。
海パンがもぞもぞする。
股間が熱くなるのを感じた。
一歩ずつだ。
頭の中で九九の1の段から数えながら、気持ちを落ち着かせる。
だが海パンのもぞもぞは止まらない。
むしろ、激しさを増していた。
念仏作戦だ。
ぼくは念仏を唱えて、心を落ち着かせようとする。
いやこんなことをしても無駄なのはわかってる。
なぜなら…。
近くに霊がいることが原因なのだ。
おそらく海で溺れた何かしらの霊だろう。
海パンは霊感が強くて、いつも反応してしまう。
だが、サトミやルミ、レンには理解されるわけがない。
変態やろうと思われないため、海パンの反応を抑えるのだ…。
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